Twinmotion と Unreal Engine なんとなく同じようなソフトというのは知っているけど、実際に何が違うのか?という疑問がある方も多いのではないでしょうか?
この記事ではTwinmotion と Unreal Engine の違いに焦点を当てて
- 大まかな違い
- Twinmotionでできること、できないこと
- TwinmotionとUnreal Engineのそれぞれのメリット、デメリット
などを紹介していきます。
Twinmotion と Unreal Engine の違いの概要
そもそもTwinmotionは、Unreal Engineベースで開発されているソフトウェアです。
ビジュアライゼーション(静止画や動画制作)に特化して、Unreal Engineをより簡単なソフトウェアにしたものがTwinmotionです。
悪く言えば「Unreal Engineの機能制限ソフト」
良く言えば「シンプルで初心者でも使いやすいソフト」
です。
結論を言うと
- Unreal Engine:できることは無限大(特にC++を使うと)だけど、学習コストが高い
- Twinmotion:できることは限られるけど、学習コストは低い
と言えます。
Unreal Engineでは、自身で新たな機能開発やプラグイン(アドオン)の追加ができますが、Twinmotionではそれができないため、できることはソフトにある機能に限られます。
ただ、「Unreal Engineをより簡単なソフトウェアにしたものがTwinmotion」と言ったように学習コストは圧倒的に低いです。
私の感覚では以下の「Twinmotion デザインテクニック」ような書籍で1、2日くらい学習すれば問題なく使用できるようになります。
Twinmotion でできること、できないこと
Twinmotionでできることはソフトにある機能に限られます。
実際にUnreal Engineと比較して何ができて、何ができないかいくつか例をご紹介します。
前提として、TwinmotionでできることはUnreal Engineでもできます。
逆にUnreal Engineでできて、Twinmotionでできないことは色々とあります。
静止画、動画の制作
こちらは、TwinmotionでもUnreal Engineでもできます。
最新のTwinmotion2023.2では、アニメーションファイルのインポートにも対応しました。
両者とも連番画像の書き出しもできますし、動画の書き出しも可能です。
ただし、Unreal Engineでは、レンダーパスの書き出しやOpen ColorIOにも対応しているので、よりプロッフェショナル向けの機能が含まれています。
単純にパースや評価用の動画を作る分は問題ありませんが、Twinmotionはマスク出しができないのでレンダリング後に細かく編集するのが難しいです。
また、Unreal Engine上ではキャラクターアニメーションなどの作成やタイムラインでのパラメーターの制御などが可能なシーケンサーがありますが、Twinmotionにはないため、アニメーション制作に関してもできることが限られます。
VR、ARコンテンツ開発
TwinmotionでもVRで閲覧することはできます。
ただし、物を持ったり、コントローラーで様々メニューや機能の使用などインタラクティブなことはできません。
なので、TwinmotionではVRコンテンツ開発はできないに等しいです。
HMDで見るということだけは可能です。
特定のHMDやiOS、Android向けの実行ファイルの書き出しができないのでARコンテンツも開発できません。
コンフィギュレーターやデジタルツインなどのインタラクティブコンテンツ
TwinmotionではUIを独自に作成することはできません。
なのでUI操作が必要なアプリケーションの開発ができません。
他のソフトウェアとの連携やリアルタイムでのデータに取得などもできないのでデジタルツイン関連のコンテンツも難しいです。
あくまでexeなどのアプリケーションを開発できないのであって、マテリアルをD&Dで切り替えるなどはできます。
なので、TwinmotionをインストールしたPCさへあれば、お客さんの目の前でマテリアルを替えたり、オブジェクトを入れ替えたりということは可能です。
シミュレーション
Unreal Engineでは物理シミュレーションができます。
流体シミュレーションが可能なNiagaraやクロス、剛体のシミュレーションが可能なChaosなどの機能があります。
Twinmotionには、それらの機能はないのでシミュレーション行ったり、シミュレーションツールを開発したりすることはできません。
ただし、「物理に基づくアセットの配置」というオブジェクトの配置に簡単な物理シミュレーションを使用することができます。
クラウド上での利用(ウェブからコンテンツを閲覧する)
こちらはTwinmotionでもUnreal Engineでも可能です。
Unreal Engineは、自身でサーバーを用意やセットアップが必要です。
対してTwinmotionは「Twinmotion Cloud」という追加料金なしで利用できるクラウドサービスがあります。
自身でサーバーを用意する必要もセットアップする必要もありません。
PCやスマホ、タブレットなどのウェブブラウザからデータを閲覧するという意味では、Twinmotionの方が圧倒的に簡単かつ低コスト(サブスク費用のみ)で可能です。
カスタマイズ
前述もしましたが、Unreal Engineには多くのプラグインがマーケットプレイにあったり、自身でツールを作成できたりと拡張性があります。
Twinmotionにプラグインはなく、拡張することができません。
機能の追加などは新しいバージョンのリリースを待つしかありません。
ただ、Twinmotionも1年に2回くらいメジャーアップデートがあり、できることがどんどん増えています。
今後どのような機能が追加されていくかは、こちらのロードマップが参考になります。
TwinmotionとUnreal Engineのそれぞれのメリット、デメリット
でできること、できないことを紹介しましたが、そのまとめとしてTwinmotionとUnreal Engineを比較して、それぞれにどのようなメリット、デメリットがあるかを簡潔に紹介します。
Unreal Engineのメリット
多くのメリットがありますが
- 拡張性
- アイデア次第であらゆる3Dコンテンツを開発できる
- PCソフト、スマホアプリ、VR,ARコンテンツ、メタバースなど
というところが大きなところとしてあげられるかと思います。
PCはもちろんVive、Meta Quest、Switch、PS5など様々なプラットフォーム向けにコンテンツ開発ができます。
ブループリントやC++でプログラミングができるので、突き詰めていけばできないことを考えるのは難しいです(もちろん個人のスキルなどにも依存します)
プラグインの利用や開発、エンジンの改造もできるので機能やツールの拡張性もあるので、無い機能を作るということが可能です。
Unreal Engineの特徴に関しては、詳しくはこちらで解説しています。
Unreal Engineのデメリット
Twinmotionと比較したときの一番のデメリットは学習コストだと思います。
Unreal Engineは、現在ではゲーム開発だけではなく、本当に多くの業界に向けた機能があり、色々なことができます。
できることが多いが故にUIも複雑で、習得に時間がかかります。
Unreal Engineを習得するのにどれくらい時間がかかるかは何をするかによります。
ただ、例えば建築パースの静止画を作るという目的であれば、Twinmotionの方が圧倒的に早く完成までたどり着きます。
静止画1枚作るにもTwinmotionの方が学習コストが低いです。
学習コストは高いですが、多くのチュートリアルや書籍も増えているので、障壁としては年々低くなっています。
例えば「Unreal Engine 5で極めるゲーム開発」は”ゲーム開発”となっていますが、様々な機能を網羅しているので、ゲーム開発以外の方にも絶対に役立ちますし、この本1冊で一通り使えるようになります。
必ずTwinmotionでできること以上のことはできるようになります!
Unreal Engine 5で極めるゲーム開発:サンプルデータと動画で学ぶゲーム制作プロジェクト
こちらも併せてご覧ください!
Twinmotion のメリット
Unreal Engineのデメリットの反対で「学習コストの低さ」が大きなメリットだと思います。
概要でもお伝えした通り、そもそものTwinmotionの目的がビジュアライゼーションに特化して操作を簡単にすることです。
なので、操作性が簡単で圧倒的にコストが低いです。
リアルタイムレンダリングに触れたことがない方も利用しやすいです。
もう一つのメリットとして、「デフォルト機能とライブラリの豊富さ」があげられます。
Unreal Engineでは自身で制作、開発しないといけないようものがTwinmotionでは既に備わっていたりします。
例えば、天候と時間を簡単に切り替えることができます。
雨が降ればオブジェクトが濡れ、雪が降れば雪が積もります。
Unreal Engineにはデフォルトでこのような機能はなく、自身で制作するか購入する必要があります。
また、最初から多くのアセットが付属しています。
画面左側のライブラリには家具や植栽、車、重機、人など多くのアセットがあり、種類もどんどん増えています。
Unreal Engineはこういったものは含まれていません。
マーケットプレイスで無料で手に入れたり、購入したりすることはできます。
天候やライブラリなどのTwinmotion独自の特徴に関しての詳細はこちらをご覧ください!
Twinmotion のデメリット
デメリットとしては
- できることが限られる
というのがあげられます。
「Twinmotion でできること、できないこと」でも紹介したようにシンプルかつ簡単が故にUnreal Engineと比べてできない事が多いです。
そのため利用用途は限られます。
ただ、Twinmotionで制作したデータをUnreal Engineに持っていくこともできます。
そのため、まずはTwinmotionから始めて、できないことがでてきたらUnreal Engineに移るというのも1つのやり方です。
Twinmotion の使いどころ
Unreal Engineと比べて、できることが少ないTwinmotionの使いどころはどのようなところでしょうか?
結論としては、そのままですが、ビジュアライゼーション向けのソフトのため「ビジュアライゼーション」です。
3DCGやCAD、BIMのデータを使って…
- 素早くリアルな静止画、動画を作成したい
- 綺麗な絵でリアルタイムにぐりぐり動かしたい
といったことで非常に便利です。
学習コストが低いというメリットがあるので、Unreal Engineは難しそうで手を出せないという方にも向いています。
また、TwinmotionからUnreal Engineにシーンを持っていくこともできるので、「まずはTwinmotionを利用して、もっと多くのことやりたくなったらUnreal Engineを使う始める」というのもおすすめです。
リアルタイムにも慣れて、Unreal Engineも学習しやすくなると思います。
まとめ
Twinmotion と Unreal Engine の違いを紹介しました。
大きな違いをまとめると
- Unreal Engineでできることは無限大(特にC++を使うと)
- Twinmotionでできることは限られる
その理由として、Twinmotionでは以下のことができません。
- VR、AR開発(HMDでの閲覧のみ可能)
- インタラクティブコンテンツ開発(独自のUIを使った操作など)
- ソフトの拡張(プラグインの追加や開発)
そして、以下のようなそれぞれのメリット、デメリットが挙げられます。
Unreal Engine | Twinmotion | |
---|---|---|
メリット | ・あらゆるコンテンツ開発が可能 ・拡張性 | ・学習コストが低い ・豊富なライブラリ ・天候などの機能 |
デメリット | ・学習コストが高い | ・できることが限られる |
ゆえにTwinmotionはビジュアライゼーション、静止画、動画制作に特化したソフトウェアとなっています。
Unreal Engine、Twinmotionを利用したいと思っている方の参考になれば幸いです!
このサイトではUnreal EngineやTwinmotionの使い方やTipsなどを紹介しているので、その他の記事もご覧いただけますと嬉しいです!
Twinmotion のおすすめの書籍
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